『剣遊記[』 第六章 女戦士は元に還れる夢を見るか。 (12) 清美と徳力のふたりは呑気な気分で焚き火に当たりながら、この騒動を完全に他人事として眺めていた。
「清美さん……あればうっちょけて(熊本弁で『ほっといて』)よかでしょうか?」
「よかくさ☻ どうせあとで疲れて帰ってくるだけなんやけ✌ いつもんことばい♪」
またその横では、孝治の男性復帰失敗を、残念なようなほっとしたような。とにかく複雑な思いで見つめ続けている涼子が、友美にそっと尋ねていた。
『けっきょく孝治ん夢は、水ん泡っち消えちゃったわけっちゃねぇ☂ でも友美ちゃんは孝治が男ん子に戻るとを、いったいどげん思いよったと?』
「えっ、わたし?」
突然ボールを投げられた格好の友美は、やっぱり返答に困った顔。
「……わ、わたしはぁ……そのぉ……良かったんか悪かったんかぁ……どっちなんやろっか?」 (C)2013 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |