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『剣遊記15』

第七章 日本に向かって宜候{よーそろー}!

     (13)

「このらぶちゃんはんのことやったら、そない心配することあらへんのやで♪☻ このうちかて、そないなことくらい考えておますさかいにな☆」

 

「考えておますさかいにな?」

 

 孝治は瞳が点の思いとなった。しかし再度質問を繰り返すまでもなく、美奈子が明朗快々に答えを戻してくれた。ついでだが美奈子は、最後まで『らぶちゃん』に『はん』を付けるようだ。

 

「実は空のカモメに頼みまして、未来亭の店長はんにこの船の処遇をどのようにしはったらええのか、ちと尋ねてみたんどす そしたらすぐに返事のカモメが戻ってきまして、未来亭で責任を持って預かりはる、みたいなことになりましたんや どや? これで友美はんも孝治はんも、ひと安心言うもんでっしゃろ☻✌

 

「納得……☁」

 

「右に同じばい……☁」

 

 孝治も友美も、もはや美奈子に異議はなかった。確かに黒崎店長の資本力(?)を持ってすれば、帆船の一隻や二隻くらい、わけもなく面倒を見る余裕があるだろう。

 

 さらに涼子が、別方面でささやいた。

 

『伝書カモメっち、初めて聞いたっちゃよ♋』

 

 ついでに孝治は考えた。

 

「ついでに新しい事業ば、店長は絶対考えちょるに違いなかやね♐☻☠」

 

 あの黒崎店長のことである。この完成度が高い大型帆船――ラブラドール・レトリーバー号を手に入れれば、きっと新たな旅行サービス業まで始めたりして――と。


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