『剣遊記超現代編T』 第五章 これからの未来、わかってないけどやめられない。 (17) 当然ながら同じスーパー銭湯の女湯では、元孝治たち四人と妹の涼子。四人の担当記者である友美が、こちらもこちらで顔をそろえて入浴していた。
もはや六人とも、身も心も慣れたものである。元孝治たち四人が以前はひとりの男性であったなど、ひとりも気にする様子はなかった。おまけにスーパー銭湯が閉店間際の時間であるためか、男湯と違ってこの六人以外に他の女性客たちの姿は、まったくのゼロ。本当の貸し切り状態となっていた。そのため今ならふつうにはできない――他人に聞かれてはまずい会話も、ためらう必要がまったくなかった。
と言うわけでもないが、大型浴場中央にある島カランの鏡の前で腰掛けに座り、タオルで背中を洗っている最中の治代が、浴槽に肩まで浸かっている友美と涼子に顔を向けて言った。
「あれから中原先生おとなしいみたいっちゃけど、またあたしたちの写真ば撮りたいなんち、言わんやろっかねぇ☻」
ちなみに(『ちなみに』がやたら多い気がする☠)現在、孝江、孝乃、治花、治代の四人は右から並んで、浴場の中央にある島カランで体を洗っている真っ最中。やはり完全に、女湯に順応している――と言うべきであろう。これに友美が、含み笑い気味の顔で答えてくれた。
「まあ、今のところはこの前の写真集で、一応満足したみたい☻ でも中原先生の創作意欲がまたむくむくと湧き出したら、鞘ヶ谷先生たちの所に、また話が来ると思うわよ✌」
孝江がこれで、一気にしかめっ面となった。
「うわっち! あのカメラマン、真面目で根はけっこう優しいっちゃけど、仕事になったら完全に鬼に徹するけねぇ☠⚠ こっちかて頼まれたら断れん性格やけ、ほんなこつどげんしよっかねぇ?」
「とかなんとか言っちゃって、ほんとはけっこう気分はノリノリなんでしょ☻☞」
涼子がふふんと、鼻で笑ってくれた。
「なんがおかしいとや、涼子♨」
孝江が文句を垂れると、涼子はこれまた明解に返してくれた。
「だって、撮影にずっと付き合って見とったんやけど、お姉ちゃんたち中原先生にほとんど逆らわないで、ほんとに言うとおりばっかりしてたやない☻☕ あたし一応、お姉ちゃんたちの意識はまだ男のまんまなんやけ、本心では嫌々やっとんやろうなぁ〜〜っち思いよったんやけど、実はいっちょもそげなことなくて、ずっと楽しゅうヌードば演じよったもんねぇ✌✋」
「うん、わたしもそれを感じたわよ✐」
友美も涼子に賛同した。その勢いでバシャッと、湯船の中から立ち上がったほどに。
「「「「うわっち! あ、浅生さん! 見せ過ぎっちゃよ⚠」」」」
元孝治たち四人はそろって、驚きの喚声を上げた。もうお互いに慣れっこのはずだが、やはり奇襲攻撃までは、心の準備ができていなかった。
「きゃっ! 🙇ごめんなさい☻」
友美も急いで肩まで湯に浸かり直したものの、その表情は満更でもなかったりする。
「なんだかお姉ちゃんたちと友美さんって、妹のあたしから見ても、なんだか変な関係になったっちゃねぇ☕」
涼子が再度、ふふんと微笑んだ。 (C)2018 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |