『剣遊記超現代編T』 第五章 これからの未来、わかってないけどやめられない。 (15) 荒生田の野望は潰{つい}えた(そんなに大層なモノではないが)。
牧山がチョロまかしていた写真はけっきょく全部没収され、元の所有者である中原に返還された。
そんな騒動の日から、これまた早くも一週間。すべては元の鞘に丸く収まった――と言うわけでもないが、あれからまた息をする暇も無いほどに続いた連載作品執筆の修羅場を終え、スタジオの一同は、いつものスーパー銭湯での入浴を楽しんでいた。
でもってまずは、男湯の光景から。
「いやあ〜〜、やっと地獄を乗り越えたなぁ〜〜☕」
銭湯の大型浴槽に肩まで湯に浸かりながら、砂津がしみじみとつぶやいた。これに枝光が相槌を入れた。
「ほんと、ほんと⚐⚑ ここんとこ先生たちに漫画以外の仕事が続いたから、本業の連載のほうに、思いっきりしわ寄せが来ちゃったもんなぁ⛑ でも、おれが思うに先生たちにはまた、今度の写真集みたいなオファーが、きっとかかってくると思うぜ⛹ あんな可愛い漫画家を世の中がほっとくなんて、絶対に有りっこねえことだからな☻」
「ほんと、ほんと、それ絶対、先輩たちの言うとおりですよ✊✋」
同じく肩まで湯に浸かっている井堀も、意見はまったく同一だった。
「まっ、とにかく今夜は体を休めて、次の連載のネームができるまでの準備期間といこうじゃねえか✍ 先生たちが美人でいる限り、おれたちに休みはねえ、って思ってたほうがいいぞ⛽」
「おれもそれに賛成✋」
砂津が全員に向けてささやくと、すぐに、それとやはり肩まで湯に浸かっている和布刈が、そうだそうだとばかりに大きくうなずいた。これにてわかるとおり、男湯の大型浴場には、アシスタントたち四人が、そろって雁首を並べていた。
とにかく仕事が一応ひと段落したので、今は休息と癒しの真っ最中――と言ったところ。深夜近くの時刻とはいえ(スーパー銭湯は午前0時までの営業)、浴場はこの四人だけではなく、もちろん他の一般客たちもいた。ただしその中に、あながち知らない顔――というわけでもない者たちもいた。
「で、おれが今、疑問に思ってることなんだけどさぁ✍☹」
和布刈がここで改めて、一応知っている者たちのほうへと顔を向けた。
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