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『剣遊記超現代編T』

第五章 これからの未来、わかってないけどやめられない。

     (13)

 このとき孝江と孝乃と治花と治代が、声をそろえて言った。

 

「「「「ねえ、あたしたちの写真、一枚いくらですかぁ?」」」」

 

「ゆおーーっし! 一枚千円の大サービスでぇーっす✌」

 

 荒生田が振り向いて、間髪を入れずに応えてくれた。

 

「「「「うわっち?」」」」

 

「あっと!」

 

 元孝治たち四人が一斉に、眉間にシワを寄せた。一方の荒生田は、自分の両手で自分の口をパッとふさいだ。

 

「先輩っ! 大バレですよ✄☠」

 

 これでフォローのつもりであろうか。牧山が、さらにの駄目押しを言ってくれた。これにて荒生田の顔色が青味に加えて赤も混じり、見事な斑{まだら}模様と化していた。

 

「こらあかん! オレは逃げるぞ、牧山ぁーーっ!」

 

「えっ? 先輩、どこへ?」

 

 もはや超オタオタ状態となっている後輩――牧山は置き去り。荒生田が猛ダッシュで、この場から駆け出した。

 

「「「「うわっち! 逃がすけぇーーっ!」」」」

 

 そうはさせじと、元孝治たち四人も走りにくいドレス姿なのも構わず、こちらも猛然と駆け出した。

 

 元より乙女の恥じらいなど、クソ喰らえだった。しかも一応、スポーツの心得もある筋力が幸い。あっと言う間に逃げる荒生田を、見事四人全員で、背中からドサドサと押さえ込んでやった。


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