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『剣遊記超現代編T』

第五章 これからの未来、わかってないけどやめられない。

     (12)

「ははは……ずいぶん不埒な泥棒もいるもんだなぁ☠ きっと君たちの秘蔵写真を狙った、悪質なマニアの犯行だろうなぁ……☢☂」

 

 などとほざいてはいるが、荒生田のごまかし笑いは今や誰が見たところで、はっきりとわかり過ぎるくらいのシロモノだった。現に顔面には、何本もの縦線が走っている状態が、一目瞭然である有様だし。

 

 それから続いて、孝乃がズバズバと言ってやった。

 

「おれ……やないあたしたちの写真ば横流しして、小遣い稼ぎしようっち悪さばたくらんじょるやつがおるとですねぇ こりゃいっぺん、痛い目に遭わせんといけんとですよ

 

「なにっ! そぎゃあなことが起こってたがやか?」

 

 登場時、お気楽そのままだった黒崎も、今の孝乃の言葉に耳を傾けてくれた。

 

「そりゃいかんがや。絶対に捕まえて、おうじょうこくほどようけい折檻{せっかん}せんといかんがね」

 

「あはは……そうだねぇ♋ 痛い目に遭わせないといけませんねぇ☠」

 

 周囲の突然的緊張感とは真逆で、荒生田の青い顔は、もう見ていて痛々しいほどになっていた。ついでにうしろで控えている牧山など、もはやガ○ラ○星人の域に達している――と表現しても良いのかも。

 

「そ、それじゃ……ボクは急に用事を思い出したから、この辺で……♋

 

 元孝治たち四人は一度も、荒生田を写真泥棒の犯人とは言っていない。それでもどうやら、ヤバい空気を感じ取ったようだ。荒生田がクルリと四人に背中を向け、パーティー会場からスタスタと立ち去ろうとする。

 

 牧山も同じ。回れ右で荒生田に続く。


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