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『剣遊記W』

第三章 ワイバーン捕獲前哨戦。

     (6)

 四国は豊後{ぶんご}水道をはさんで、九州とは対岸の位置にある。そのため両島は比較的近距離なので、小型船でも半日航海での往復が可能であった。

 

 今回、荒生田と沢見が四国を目的の場所に選んだ理由は、実に単純明快。四国東部に連なる剣山系が、日本国内で最もワイバーンの生息数が多い地域とされているからだ。

 

 もちろん九州にも、ワイバーンが棲んではいた。しかし四国に比べると、その数はとても少ないとも言われていた。だからここはやはり、確実に仕留めようと思えば、遭遇する可能性の高い地区を選ぶ狩人の鉄則を活かすべきであろう。

 

 孝治たち一行は北九州港から船に乗って瀬戸内海を渡り、愛媛県松山市に上陸。そこからは徒歩で、剣山を目指す行程を予定していた。

 

 途中、松山市の道後{どうご}温泉にて宿を取り、例によって入浴中である孝治に荒生田がチョッカイをかけてひと騒動が起きる展開であるが――いつもの定番なので、この話は省略。

 

 閑話はいろいろあるけれど、孝治たちが剣山に到達した日は、上陸から数えて四日目であった。


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