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『剣遊記W』

第三章 ワイバーン捕獲前哨戦。

     (4)

「それよかねぇ……☞」

 

 船上にて潮風を全身で受けながら、孝治は裕志に尋ねてみた。

 

「今度の旅で、荒生田先輩といっしょにおる沢見と沖台って人☛ いったい何モンね? ふたりとも自称で自由商人やなんち言いよんやけど☹☁」

 

「そ、それはやねぇ……☁」

 

 とたんに裕志が、なんだか浮かない顔付きになった。それからやはりと言うか。歯切れの悪そうな返事を戻してくれた。

 

「……こ、こげな言い方していいんかどうかなんやけど……ぼくなりに調べてみたんやけど……ふたりとも過去の経歴が、いっちょもわからんとたいねぇ……☂☃」

 

「なんねそれ?」

 

 裕志の奥歯に物がはさまったような返答で、孝治は眉間にシワが寄る気になった。

 

 これに裕志が申し訳ないといった感じで、心苦しそうに話を続けた。

 

「そげんこつあるとに、沢見さんと先輩がすっかり意気投合ばしちゃって、ぼくがそこんところば尋ねようっちしたら、先輩がすっごい怒ると☠ 『よけいなことばせんでよかっ♨』ってね☂」

 

「それってなんだか、きな臭い話っちゃねぇ☚☛」

 

 孝治は思わず、ため息を漏らした。理由はいまいち信頼性に乏しい者との同行こそ、あらゆる冒険の中で、一番危険となる要因なのだから。

 

 そこで友美が、口元に右手人差し指を立てた。

 

「そのきな臭い人が来たっちゃよ☞」

 

「あっ、ほんなこつ☪」

 

 孝治も友美が見ている先に目線を移し変えた。そこでは例のサングラス😎野郎――荒生田が、自称自由商人とやらのふたりを伴って、船室から甲板に上がってくるところだった。


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