『剣遊記14』 第一章 私は見た。 (14) しかし事態の急展開は、まだまだこれだけでは収まらなかった。
「では、この私もご同行させていただいてよろしいですかな?」
ここまで珍しくも静かにしていた二島までが、いきなり名乗りを上げたのだ。だけれどこちらの名乗りに孝治はもはや、それほどの驚きを感じなかった。
「やっぱ、そうきたっちゃね☻」
なぜなら吟遊詩人という職業柄もあるのだが、この二島なる人物、好奇心の権化のような存在であると、すでに認識以上の大前提――となっているからだ。
それに二島であれば、旅にはだいたいにおいて慣れているはず。元々ひとりで全国を行脚している身分でもあるし。
孝治は苦笑気分で言ってやった。
「はいはい、もうみんなまとめて面倒みますっちゃよ☹☹☹ もう、おれの周りは好奇心が二本足で立っとうような連中ばっかやけねぇ⚠⛐」
以上のような感じでもって、今回の冒険のメンバーが、ほぼ決まった格好。名前を一応挙げておけば、孝治、友美、内緒で涼子。荒生田とお守り役の裕志。おまけで二島。問題なのが徹哉と日明ってところだが、とにかく総勢で八人(非公式の幽霊も加えて)といった顔ぶれか。
「ええーーっ! ぼくも行くとぉーーっ!?」
勝手に決められた格好である裕志の叫びなど、孝治も含めて、もう誰もが知らんぷり。ついでに日明が、またも理由のわからない高笑いを繰り返した。
「ぬわぁーーっはっはっはっはっ☆★☆★ このうわたくしの大科学力と大天才的大頭脳を持ってすれば、この世に解明不可能なる謎なんぞ、ずえったいに有り得んのだがにぃ☺☻☺ ちなみに今のはシャレではにゃあぎゃあ✌ それよりちゃっと急いで、その池田湖なる神秘の湖とやらに、あすんどらんでちゃっちゃと出発ぶちゃけるんだがやぁーーっ!」
孝治はこのとき思った。
「きょう、勝美さんの姿ばこん部屋で見らん理由が、今わかったばい☠ こげな人がおるけ、店長の知り合いっちわかっちょっても、一番にどっかに避難したんやろうねぇ☻✈」
出発はあした――これも速攻で決まった。 (C)2016 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |