『剣遊記14』 第一章 私は見た。 (12) 「なぬっ!? モンスターやとぉ!☞☞☞」
「うわっち!?」
日明の牛乳瓶メガネが、たった今キラリと光ったように、孝治には見えた。
(こん人……これでようわかったっちゃね☠ 荒生田先輩とおんなし、好奇心の塊っちゃよ☢)
その孝治の危惧する『好奇心の塊』。同じメガネ(こちらは黒いサングラス😎)である荒生田のほうも、やはりと言うか、同じパターンだった。
「ゆおーーっし! モンスターの登場けぇ!☆」
「うわっち! あちゃあ〜〜っ☠」
孝治は思わず、右手を自分の額{ひたい}に当てた。別に平熱であるのだが、頭痛だけはしっかりと発症させていた。なぜなら黒崎たちの話がおもしろくなくて、ほとんどふて寝に近い有様だった荒生田が、パッチリと目を開いたらしいからだ。
『らしい』と表現した理由は、こいつがいつも黒いサングラスをかけているため。考えてみれば孝治は、荒生田の両目をまともに見た記憶がなかった。また寝ているときも例外ではなく、少なくともサングラスをかけたままで、荒生田はいつも昼寝などを強行していた。
それはとにかく、荒生田の鼻息は荒かった。
「なんかおもしろそうっちゃねぇ☀ そん話ばくわしゅう聞かせてくれんね✐✑」
「ええ、もちろんですよ✌ もっともこの私も、この話をたった今この長い耳に入れさせてもろうたばかりのことなんですけどね✍」
ここでもやはり、盗賊の正男から仕入れたであろう謎話を、二島が今度は荒生田と日明の前で繰り返した。
ただ、湖の場所について二島が述べたとたん、日明が急に顔をしかめた感じになったところが、孝治にも妙に気になる場面となった。
「ほう、鹿児島の南端……池田湖きゃーも✊」
「なんや、このおっさん……知っとうことでもあるとやろっか?」
孝治は友美と涼子にだけ聞こえるよう、そっと小さくささやいた。しかしふたりとも、そろって頭を横に振るばかり。
「う〜ん、そげな理由、わたしらにわかるはずないっちゃよ☹」
『右におんなじばい☕』
「そりゃそうっちゃねぇ☻」
孝治も苦笑してうなずいた。元々三人(孝治、友美、涼子)とは関わりのなさそうな話なので、このときの日明の顔の件は、これにて立ち消えとなった。
しかし、荒生田は別だった。
「ゆおーーっし! おもしろかぁ〜〜っ☆ いっちょここらでオレたちで探検隊っちゅうのはどげんね?」
「うわっち! やっぱしいつもんパターンで病気が始まったっちゃよ☠」
孝治は荒生田の悪い癖の再発症をさらに実感した。 (C)2016 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |