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『剣遊記]』

第三章 渡る世間は敵ばかり。

     (8)

 自白を強要する場面のくわしい描写は、あまりにも恐ろしい光景なので省略。各人のご想像にお任せいたします(あとでバラすけど☻)。

 

 早い話が拷問であるが(たとえ相手が犯罪者であっても、一般人が勝手に捕まえて罰すれば、逆に罪になります)、荒生田が弱い者いじめ大好きな性格は、今さら言うまでもなし。ところが可奈もさすがに、一時犯罪組織に身を置いていただけの実績はあった。

 

「わ、わかったけぇーーっ! 全部正直に話すけぇ、もう勘弁しちゃってやぁーーっ!」

 

 たまりかねて桐都下が音を上げても、もはや関係なしとばかり。可奈はまるっきり、自白強要をやめようとはしなかった。

 

「そんなこんねぇ♡ お楽しみはこれからずらよぉ♡」

 

 明らかに可奈は、拷問に快楽を得ている様子でいた。

 

「もうよかやないですか、先輩?」

 

「そうけ? オレはまだ物足りんとやけどねぇ……☻」

 

 さすがに罪の意識を感じた孝治の声で、荒生田もようやく、桐都下の局部をくすぐる手を止めた。

 

「あたしならこんなおやげねえやつ、まだまだくれてやれるずらけどねぇ♠♣」

 

 一方で可奈は、いまだ欲求不満そうな顔付き。裸にした(一応上半身だけ)桐都下の背中の上から、ロウソクをタラリタラリと垂らしていた(これ以前にもっといろいろ)。

 

「女はやっぱ、怖いっちゃねぇ〜〜☠」

 

 孝治は思わずささやいた。当然ながら、涼子のよけいなツッコミが入った。

 

『人様んこと言えんっち思うっちゃよ♡ 孝治かてこん人に、デコピン五十発もお見舞いしたっちゃやない♡ それとも孝治は自分が女性になっちょうもんやけ、ついでに残酷に目覚めたっち言いたいわけ?』

 

「うわっち!」

 

 突っ込まれてから孝治は素知らぬ顔のつもりで、わざとらしい口笛を吹いた。ちなみに『デコピン』とは、被害者のおでこを自分の人差し指で思いっきり弾いて痛めつける、これもいわゆる、よくあるいじめ行為の呼び名。

 

 端から見れば他愛のない遊び方であるが、叩かれる被害者にとっては、これが死にたいほどの地獄となる。

 

 だから良い子のみんなは、こんな危ない真似は絶対に行なわないようにしようね☆


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