『剣遊記15』 第六章 我、真珠湾に上陸せり! (3) らぶちゃんことラブラドール・レトリーバー号は無事、オアフ島真珠湾の、港湾側が指定する第三埠頭に接岸した。
見ればらぶちゃん以外にも、数多くの帆船が錨を下ろして、広い湾内で船体を休めていた。
「真珠湾っち、すっごく大きい港っちゃねぇ♋ こげな大きな島が太平洋のド真ん中にあるとやけ、これで世界中の船乗りが大助かりっちゅうもんやね☺」
右舷から自動で下ろされたタラップを軽いステップで降りながら、孝治は興味と野次馬根性丸出しで、周辺をキョロキョロと見回した。
『まるっきり子供っちゃね☻ 孝治って☛☻』
涼子が頭上でプカプカしながら、そんな孝治を笑っていた。
「それにしてもばいねぇ☹」
タラップを降りる一行の中で、秋恵のみだった。なんだか腑に落ちないような顔をしていた。他の面々は千夏を筆頭に、ほとんど浮かれまくりに近いというのに。そんな秋恵に、友美がそっと声をかけた。
「どげんしたと? 秋恵ちゃん♠」
「うん、実はやねぇ……⚐」
秋恵が答えた。
「あたしが美奈子先生と初めて冒険の旅に出たとき、あっちこっちの砦でけっこう厳しい検査ば受けたとばい⚠ それなんに、ここは国自体がごつか違うとに、たいがいぶりに見えるほどフリーパスってな感じばいねぇ⛐ これもお国柄の違いなんやろっか?」
「そうっちゃねぇ♐」
友美も秋恵の疑問に、今になって同感を覚えたようだ。
「ここアメリカは自由が建前の国なんやけ、そこんとこでたんオープンにしとんやろっかねぇ♣ わたしもそこまで考えたことなかったっちゃけど✐✄」
「そう言うことけ☞」
会話を耳に入れた孝治もここで、横から口を入れてみた。
「まあ、なんにせよ、大らかなる国民性っちゃね☀ これに比べたら我が日本国のほうが、よっぽど閉鎖的っちゅうもんちゃよ☠」
「なにはともあれ、上陸させていただきますえ✈」
「うわっち!」
毎度恒例のパターンだが、突然背後から美奈子が号令をかけたので、孝治を中心にして、一同ビックリ。いつもながら、なんの予告も脈絡もないお方である。
このような登場の仕方はともかくとして、孝治たちはビキニ👙姿のままで、他国への入国をしているわけ。特に美奈子など、くわしい描写はもうやめておくけど、相変わらずの超マイクロビキニ姿のまんまでいた。もっとも孝治も前から指摘をしているとおり、オアフ島で最も有名なワイキキのビーチとやらは、まさに美奈子のお仲間たちでいっぱいにあふれているのだ。
「うわっち! うわっち! 今まで美奈子さんひとりにドキドキしとったんが、まるで井の中の蛙{かわず}やったみたいばい!」
なんとビーチの砂浜でたむろしている金髪の女性たちのほとんどが、美奈子と同じような超マイクロビキニ姿で、堂々と闊歩をしていた。もちろんふつうの水着姿でいる女性も珍しくはないようなので、生易しい感じのビキニでいる孝治たちや、(ぺったんこの)スクール水着を着用している千秋と千夏が、そんなに浮いて見えているわけでもなかったのが、不幸中の幸いだったとでも申しておくべきか。 (C)2018 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |