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『剣遊記15』

第六章 我、真珠湾に上陸せり!

     (1)

「はわいノ高等弁務官カラ、上陸ノ許可ガ出タケエノォ」

 

「ほんなこつ?」

 

 らぶちゃんの人工頭脳的自動コントロールシステムは、ここでも優秀なる性能を発揮してくれた。それは孝治もビックリ仰天するような迅速ぶりで、ハワイ当局への入港と上陸許可を、すべて自分できちんとやってのけたのだ。

 

「蟹礼座さん、これで良かっちゃね?」

 

 ブリッジで船の前方の景色を眺めていた孝治は顔を右に向け直し、横で立っている蟹礼座に訊いてみた。

 

「せやぁーないよ、これでええ☀」

 

 答えてくれた蟹礼座の表情には、孝治の見た感じでは、ほっと安堵の息を洩らしているように見えていた。

 

(グアム島ば行くの嫌がって、わざわざ遠くのほうのハワイに来たがるっちゅうのが、おれにはよう理由がわからんちゃねぇ☁?)

 

 疑問はとりあえず、胸の内に収めておくようにした。


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