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『剣遊記15』

第五章 暗雲めぐる太平洋。

     (20)

 ブリッジに戻ってみると、そこではすでに、友美がらぶちゃんの心臓部――水晶球と話をしているところだった。

 

 その横から割り込むような格好で、孝治は友美に尋ねてみた。

 

「どげんちゃね? らぶちゃんは了解してくれたと?」

 

「うん☆」

 

 友美はコクリとうなずいた。

 

「はわいクレエ、軽イ軽イケンノォ……やて ほんなこつ、すっごい魔術っちゃねぇ……しか言いようがなかばい✌

 

「おれも初めっから、何回もそう思うっちゃよ

 

 実際にらぶちゃんの舳先は孝治の方向感覚でもってしても、はっきりと東の方向に船の舵を切っていた。船舶のコンパスの使い方など、孝治は完全に素人であるが、これなら全面的任せっきりにしても、あまり不安を感じずに済みそうだ。

 

「んじゃ、頼むっちゃよ

 

 つい友達感覚で声をかけた孝治に、いつもの広島弁が、水晶球から返ってきた。

 

「安心セエ、ソレガワシノ役目ジャケンノォ」


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