『剣遊記 超現代編U』 第五章 MAX級ハプニング! 運動会がやってきた。 (7) 四番目の走者は裕志であった。もちろんこいつも、孝治の巨乳の洗礼を受け続けてきたわけ。走り終わって次の走者と交代したとき、こいつはなんと、本当に鼻血を噴き出してやがった。
「えがったぁ〜〜☀♡☺ おれもう、今すぐ死んでも、思い残すことなんにもねえ〜〜☕」
おれは裕志の後頭部に、ハリセンパンチをバチンと喰らわしてやった。あとで思い返してみれば、これは理由のわからないおれの嫉妬。なんだかおれの聖域に、土足で足を踏み入れられたような思いがしたのだろうか。
そんなおれの本心は、現時点でも棚の上。それよりも五番目の走者――こいつが最大の大問題なのだ。
そう、荒生田和志のご登場である。
「ゆおーーっし! 孝治っ! オレの背中に早く乗れっ!」
「うわっち! は、はいっ!☠」
見た目によくわかるほどに、孝治の態度は初めは消極的だった。だが乗せるほうである和志は、これまた見た目にも、やる気満々MAXと言った感じ。まさに下心がサングラス😎をかけたまま、体操服を着てやがる――とでも言うべきか。
さらに和志のやつ、運動会でも自分のトレードマークである黒いサングラス😎を、絶対に装着し続ける信念の持ち主だったとは。
まさに恐るべし男。
「よいしょっと☢」
けっきょくその和志から言われるがまま、孝治はその背中に飛び乗った。それでも極端に背が高い進一や永二郎に比べれば、やや楽そうな感じ。しかも、遠くの位置から見てもよくわかる孝治の胸の弾力が、和志の背中に密着した瞬間だった。
そのとたん、和志が吠えた。
「ぬおおおおおおおおおおおおっ! オレは今、超モーレツに感動しているぅーーっ!」
感動どころか、仮におれが和志の親だったら、超速攻で勘当してやりたいところ。ついでだが、その叫びたい気持ちも、おれには充分以上に伝わった。今さら言うのもなんだが、おれ自身がたった今、その大感動を味わったばかりの身の上であるからして。 (C)2018 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |