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『剣遊記 超現代編U』

第五章 MAX級ハプニング! 運動会がやってきた。

     (6)

 それでもおれは走った。豊乳孝治を背中におぶり、自分の力の及ぶ限りで。

 

 この間背中に感じる破壊力は、それはもうメガトン級。これでよくぞ、おれの精神力が、最後まで持ちこたえたものだ。だが、おれにとっては永遠の艱難辛苦{かんなんしんく}であったものの、世の中の一般的な時間の流れの中では、これは一走区間だけの話。おれは実際、自分でも訳のわからないまま、一応第一走者としての責務を果たしていたらしい。気がつけば孝治はおれの背中から大急ぎで飛び降りて、次の走者である進一の背中に駆け上がっていた。

 

 おれがほぼ自己を喪失していた間、孝治自身はしっかりと、バトン役の使命を果たしたわけだ。これはおれも見習わないといけない、立派な根性だと思う。実は名残り惜しい気もあるが。

 

 それから孝治は巨漢である進一の背に乗って、リレーコースを一巡したわけ。あとで孝治から直接聞いた話なのだが、進一は背中の面積が大き過ぎて、デカい肩をつかむのに、とても苦労をしたらしい。なにしろ勢いに負けて手が外れると、走ってる最中に地面に振り落とされてしまうものだから、本人は凄い必死だったとのこと。

 

 さらに続いての走者は、スポーツマンである永二郎。こいつも一応大真面目に、孝治を背負って無事に走り切っていた。

 

 これもあとで聞いた永二郎からの談であるが、走る最中他のクラスからの視線の集中が、それはもう背中に痛かったとのこと。ついでに孝治は、永二郎の筋肉質である背中が、凄く固かったと言っていた。

 

 なお、進一も永二郎も、やはり孝治の豊乳の弾力が強すぎて、なかなかいつもの本領を発揮できなかったと、これらもあとで言っていた。

 

 それでもリレーの一番の座を守り通したのだから、このふたりには国民栄誉賞を与えても良いと、おれは思う。


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