『剣遊記 超現代編U』 第五章 MAX級ハプニング! 運動会がやってきた。 (11) あのとんでもない運動会から、早くも三日が経過した。
「はぁ〜〜(*´Д`)☁」
その三日目の、ある日の帰り道だった。孝治が深いため息を吐いた。
現在時刻は、下校時間(『帰り道』と言った時点で判明しているのだが)。おれと孝治がいっしょに並んで、土手の道を歩いている格好は、なにも知らない第三者たちが見たら、まさに高校生の理想的な男女カップルと言えないだろうか(自己満足☻)。
服装も男子専用黒い制服{ガクラン}と、女子高専用の華麗なブレザー姿であるし(孝治はカバンも女子用)。
なにしろ各言うおれ自身、下校の初めっから妙にうれしい本心を、なんとかして顔に出さないよう、苦労の連続をしている有様であるからして。
こんなやましい本心は棚に上げて、孝治のため息を少し心配したおれは、横から声をかけてみた。
「どうした? 疲れたのか⛑」
「正解……☁」
孝治はやや苦笑混じりで、おれに顔を向けてくれた。それから小さな声での愚痴が続いた。
「女になって、まだそんなに日が経ってないのに……もう五十年くらいの人生を送ったような気分だよ⛐ 改めて思うんだけど、女ってつくづく、苦労が多いもんなんだなぁ……ってね☹」
「まあ、おれたちのクラス……B組のメンバーがメンバーなもんだからなぁ☻」
おれはくくくっと、小さく笑った。孝治の苦笑が、おれにも伝染したようだ。それから孝治が返事を戻した。
「そうかもね☺」
このときおれに振り向き直した孝治の笑顔を見て、おれは正直、心臓がドキッと大きく鼓動した。
何度でも繰り返すが、か、可愛い! 可愛過ぎる!
性転換した直後の初お目見えのときから、おれはもう何十回も同じ感情を抱いたはず。だけどきょうのそれ――孝治の天真爛漫そうでいて、なんだか哀愁にも満ちている笑顔は、確実にそのときの衝撃度を、遥かに超越してるじゃねえか♋
そう思ってなんとなく孝治から離れ、おれは距離を置いて改めて眺めてみた。今の孝治は間違いなく、女性化の進み具合が、さらに加速を増しているみたいだ。実は今だから言うんだけど、初お目見えのとき、わずかに垣間見えていた男性的要素の残りが、今はみじんも感じられない。
確かにこれではおれも含め、裕志や岳純らを始めとするクラスのヤローどもの頭がおかしくなっていく事態も、大いに納得ができる――と言うものだ。
特にあのサングラス😎馬鹿など。 (C)2018 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |