『剣遊記 閑話休題編V』 第三章 激闘! 悪をつらぬく角一本。 (9) 「孝治ぃーーっ! どげんしたとぉーーっ!」
戦い終了。友美が早速、孝治の元に駆けつけてきた。彼女に続いて涼子はもちろん、いまだニヤケ顔のままになっている秀正や正男たち男衆もいっしょにいた。
裕志などは鼻の穴に、丸めたちり紙を詰め込んでいたりする。
そんな面々を前にして孝治はすでに、鎧といっしょに地面に落ちていた鞘を左手で拾い上げ、その中に剣を収めていた。戦う意志を失った相手に、もはや武器など不要であるからだ。
「おれの勝ちっちゃね✌」
それから友美と涼子にニコリと微笑んでやった孝治の右手には、先ほど取り出した“ある物”が、まだ握られていた。
三角形に折り畳まれている感じの紙が。
『なにこれ?』
涼子が右横から、その紙を覗き込んだ。涼子の姿は見えないだろうけど、その他の男衆も興味しんしんの顔になっていた。もちろんその対象は、孝治のセミヌードばかり。今から続く孝治と友美、涼子の会話も、耳に入っていない感じでいた。
『なんか昔見たことあるっちゃけど、かみでっぽう……みたい?』
などとつぶやく涼子のまた右横で友美は、すぐにピン💡ときた感じ。
「涼子はあんとき聞いてなかったんけ? まあ、寝泊まり小屋で真っ先に寝てしもうたけねぇ☺ それはとにかく、そんとおり正解の紙鉄砲なんやけど、これって孝治が、荒生田先輩から作り方ば聞いたっちゅう折り紙の紙鉄砲やね☞ もしかして孝治、いつん間にか新しい紙鉄砲ば作っとったと? しかもパンティーの内側に隠しとうなんちねぇ⚠」
「そんとおり✌」
孝治はドヤ顔のつもりになって応えてやった。そんな孝治の右手には新聞紙を折り畳んだ、一枚の紙細工が今も握られていた。
ここで紙鉄砲の作り方について、解説をひとつ。
@ 紙質はなんでもよいから、新聞紙大の用紙を広げます。
A それを縦方向に半分折りにします。
B はじっこを折り目に合わせて折ります。
C 四つ角を同じ感じで折ります。
D 先っぽを合わせるようにして半分に折ります。
E 縦の方向に合わせてもう一度折ります。
F 先っぽが手元にくるように回します。
G 先っぽを合わせながら袋になっている所を開いて、ゆっくりつぶすようにして四角く畳みます。
H それを引っ繰り返して台形の部分を立ち上げ、先っぽを抑えながら袋の形に開いて四角く折り畳みます。
I これではじっこが欠けている形になりました。
J そこを中に入れるようにしてそのまま折ります。
K 次は反対側に引っ繰り返します。
L 反対側も先っぽが欠けている面を中に入れる形で折ると紙鉄砲の出来上がり!
M 文章だけの解説ではイメージがつかみがたいとは思いますが、これが限界ですのでどうかご勘弁を☃
『なんて、わざわざ長い説明ばすることね?』
涼子が横から突っ込んでくれた。ついでにもうひと言。
『つまりぃ〜〜、孝治は先にそん紙鉄砲ばこっそり作っといて、いざっちゅうときにそればパンち鳴らして、敵ば脅かしたわけっちゃね☠ いっちょんセコか仕掛けっちゃねぇ☢』
「勝てばええと✌ それば教えてくれたと、荒生田先輩なんやけ☻ っちゅうてもやっぱ、でたんセコい戦法っちゅうのは認めんといけんちゃねぇ☻☻」
もはや孝治は怯まなかった。さらに友美もうなずいてくれた。
「これが荒生田先輩が言うたっちいう、いつか役に立つっちゅうことやね✐ でも相変わらずで、先輩の考えそうなことっちゃねぇ♋☺」 (C)2016 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |