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『剣遊記 閑話休題編V』

第三章 激闘! 悪をつらぬく角一本。

     (8)

「てめえらぁーーっ!」

 

 戦闘中なので胸を隠す余裕のない孝治は、無責任ヤジが飛び交う中、もう丸出しのままで戦いを続行するしかなかった。もっとも相手の芽羅とて孝治よりマシとは言え、ブラジャーとパンティーの二枚のみ。これにて両者、ほぼ互角と言えるのかも。

 

「こげんなりゃ最後の手段ったい!」

 

 それでもなんとか意を決した孝治は、残ったパンティーのうしろ部分――お尻の所から、急きょある物をひとつ、右手でつまみ出したりをした。

 

「それっと!」

 

 孝治はその“ある物”を右手でつまんだまま縦にビュンと振ってやり、芽羅の瞳の前でパチンと、けっこう大きな音を鳴らしてやった。

 

「きゃんっ!」

 

 すると芽羅が、これまたけっこう可愛らしい悲鳴を上げた。誘拐などの凶悪犯罪を犯しているくせに――また槍術に秀でた達人なのに、なかなか女性らしい一面を見せてくれる一味である。

 

 とにかくこれにて、芽羅の戦意が一瞬にして萎えた感じ。彼女が長槍をペタンと地面に落とし、ヘナヘナと腰を地に付けてしまった。


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