『剣遊記 閑話休題編V』 第三章 激闘! 悪をつらぬく角一本。 (8) 「てめえらぁーーっ!」
戦闘中なので胸を隠す余裕のない孝治は、無責任ヤジが飛び交う中、もう丸出しのままで戦いを続行するしかなかった。もっとも相手の芽羅とて孝治よりマシとは言え、ブラジャーとパンティーの二枚のみ。これにて両者、ほぼ互角と言えるのかも。
「こげんなりゃ最後の手段ったい!」
それでもなんとか意を決した孝治は、残ったパンティーのうしろ部分――お尻の所から、急きょある物をひとつ、右手でつまみ出したりをした。
「それっと!」
孝治はその“ある物”を右手でつまんだまま縦にビュンと振ってやり、芽羅の瞳の前でパチンと、けっこう大きな音を鳴らしてやった。
「きゃんっ!」
すると芽羅が、これまたけっこう可愛らしい悲鳴を上げた。誘拐などの凶悪犯罪を犯しているくせに――また槍術に秀でた達人なのに、なかなか女性らしい一面を見せてくれる一味である。
とにかくこれにて、芽羅の戦意が一瞬にして萎えた感じ。彼女が長槍をペタンと地面に落とし、ヘナヘナと腰を地に付けてしまった。 (C)2016 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |