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『剣遊記 閑話休題編V』

第三章 激闘! 悪をつらぬく角一本。

     (7)

「とあーーっ!」

 

 孝治は芽羅から身を離すつもりで、中型剣を大きくビュンと、右に振り払ってやった。

 

「きゃあっ!」

 

 このとき芽羅までが是美のように、可愛らしい悲鳴を上げた。なぜならこれは決して仕返しではないのだが、孝治の剣は今度は、芽羅が着ている鎧の紐を、ブチッと見事に切断していた。こうなれば当然ながら、彼女の軽装鎧の腰から下の部分が孝治と同様、バサリと地面に落ちる展開だった。

 

「このエッチ娘ぇ!」

 

 芽羅が怒りに燃える瞳で、孝治をギラリとにらみつけてくれた。

 

「お互い様ったぁーーい!」

 

 こればかりは孝治も引き下がらなかった。

 

「おのれぇーーっ!」

 

 それでもついに怒り心頭へと達したか。芽羅が下半身丸出し(安心してください。こちらも白いパンティーをちゃんと穿いています)のまま、槍の先端を突き出して、孝治にドドドッと突進をかけてきた。

 

 そのとたんだった。初めの一撃以外にも、紐にいくつかのダメージ部分があったらしい。ブチブチブチッと音を立て、彼女の鎧が完全に地面へバラバラとばら撒かれる一大事となったわけ。

 

「きゃあーーっ!」

 

 これにて一挙に出鼻をくじかれた感じ。芽羅が孝治と同じブラジャーとパンティーのみの姿となって、地面に両足の膝をペタンと付けた。

 

「今度こそこれでお合いこっちゃね☻」

 

 孝治は勝ち誇った気持ちになって、地面で膝を付く芽羅に、前のほうからゆっくりと近づいてみた。そこに油断があった。

 

「たあーーっ!」

 

 なんだか戦意喪失のようにも見えていた芽羅が、まさに『窮鼠、猫を噛む』であろうか、不用意に近づいた孝治に向け、再び槍をビュンと右から左に薙ぎ払った。

 

「うわっち! うわっち! うわっち! うわっち!」

 

 業界初かもしれない四連発! 孝治はブラジャーの正面真ん中部分をブチッと切られ、ポトリと地面に落としてしまった。

 

 つまりこれにて、孝治は完全トップレスの有様。パンティーだけを残した、ほぼ裸の格好となった。

 

「孝治ぃーーっ! 最高ばぁーーい!」

 

 またしても井堀の無責任なヤジが飛んできた。裕志などもはや、鼻血の大量出血状態。なんと砂津までが同じ有様。これとは別に、比較的女性の裸に慣れている(?)秀正と正男のふたりは、口をそろえて井堀と同レベルのヤジを再開させていた。

 

「あと一まぁーーいっ♪ あと一まぁーーいっ♪☆ あと一まぁーーいっ♪♡

 

「敵さん、頑張ってやぁーーっ♐☻ 孝治のオールヌードまでぇ♡♡♡」

 

 このような中で大門と黒崎のみは一応紳士(?)らしく赤い顔になって、あさっての方向に顔を向けていた。

 

「いっしょに月でも眺めますがや」

 

「そうじゃのぉ……

 

 ちなみに現在、昼間である。


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