『剣遊記 閑話休題編V』 第三章 激闘! 悪をつらぬく角一本。 (15) 事件のすべてが大団円となった。
それから夜になって、孝治と友美は、そろって大浴場での入浴を楽しんでいた。
例によって他の給仕係たちの入浴が全員終了。最後の貸し切り状態になってからである。
「なんやいろいろあったっちゃけど、とにかく綾香ちゃんが無事に済んで良かったっちゃよ☺」
肩まで湯の中に浸かりながら、孝治は友美相手にささやいた。
「うん、そうっちゃね☕ 綾香ちゃんのいっちゃん大事な角かて傷ひとつ付かんかったし、これからもユニコーンの女ん子として、未来亭の看板娘で頑張れるっちゃよ✌」
友美も肩まで湯に浸かりながら、孝治のささやきに応えていた。ちなみに本人が瞳の前にいたら『あーちゃん』であるが、不在の場合は『綾香ちゃん』で統一していた。特に深い意味も問題もないのだけど。
ついでに変な話ではあるが、今やいっしょの入浴に、孝治も友美も抵抗感をまったくなくしていた。
お互い体にタオルを巻いているわけでもなし。堂々と混浴を満喫しているのだ。
このようなふたり(孝治と友美)と同じ湯船に浸かりつつ、幽霊の涼子が今の状況を評してくれた。幽霊もお風呂が大好きなのだ。
『もう話題にもせんみたいっちゃけど、孝治も友美ちゃんも卓越したっちゃねぇ✊✋ これってやっぱり、あたしのせいなんやろっか?』
「そんとおりっちゃよ✌」
涼子の言いたい真意がすぐにわかった孝治は、訳知り顔のつもりになって、それに応えてやった。
「涼子が散々、自分のヌードば四六時中見せてくれるもんやけ、友美は違うっち思うっちゃけど、少なくともおれのほうは完全に洗脳されたも同然やけねぇ⛑ もっともきょうの昼間みたいに、ヤローどもの前でヌードば晒す真似なんち、金輪際御免被るっちゃけどね⛔」
「ふふっ♡ 秀正くんとか井堀さんたち、すっごう喜んじょったもんねぇ☆」
「うわっち! それば言わんとってや☠」
友美がくすっと笑ってくれたときだった。三人(孝治、友美、涼子)で貸し切り(?)にしているはずの浴場のドアが、いきなりガラッと開かれた。 (C)2016 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |