『剣遊記X』 第一章 天才魔術師の憂鬱。 (14) 次の朝。村から魚町の姿が、忽然と消えた。
「ええか、静香! 石峰家は一度伴侶{はんりょ}と定めたモンとは、生涯断じて離れてはなんねえだがね☀☆ おまえにこの血さ引く気概があれば、たとえ地の果てさまで行ってでも、進一くんさ捜し求めるんだぁ! ええか!」
「はい! ととどん!」
すでに昨夜の酔いは醒め、『お父様』から『ととどん』へと戻ってはいた。しかし静香は父の命令を忠実に守り、魚町の巨大な姿を求めて、日本中を旅する顛末となった。
今より一年前の物語である。 (C)2012 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |