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『剣遊記\』

第五章 瀬戸内海敵前上陸戦!

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「孝治くんたち、頑張っとるだにぃ♡」

 

 上空からの石落とし攻撃で海賊を翻弄している静香であるが、少し調子に乗り過ぎのようでもあった。それは早くも石ころを、全部下に投げ尽くしていたからだ。従って、今は手ぶら。

 

「そうだがね♡ あたしも下さ降りて参戦するだがねぇ♡」

 

 華奢{きゃしゃ}な体つきとはいえ、静香だって立派に戦士の端くれ。すぐに腰のベルトに装着している中型剣を引き抜き、急降下で地上へ舞い降りた。

 

「ここで手柄さ立てたらだなぁ、進一さぁがあたしさ見る目さ変えてくれるだんべぇ♡」

 

 けっきょく静香の思考は、そこへ行き着いていた。しかし地上の海賊たちが、これでまた大混乱にもなっていた。

 

「おわぁっ! 女やぁーーっ!」

 

「女子{おなご}が空から降ってきただぁーーっ!」

 

「下からパンツ丸見えやでぇーーっ!」

 

「あんだっぺぇーーっ!」

 

 最後の海賊のよけいなひと言が、静香の闘争心を、さらに煽り立てる展開となった。


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