『剣遊記\』 第五章 瀬戸内海敵前上陸戦! (12) 「孝治くんたち、頑張っとるだにぃ♡」
上空からの石落とし攻撃で海賊を翻弄している静香であるが、少し調子に乗り過ぎのようでもあった。それは早くも石ころを、全部下に投げ尽くしていたからだ。従って、今は手ぶら。
「そうだがね♡ あたしも下さ降りて参戦するだがねぇ♡」
華奢{きゃしゃ}な体つきとはいえ、静香だって立派に戦士の端くれ。すぐに腰のベルトに装着している中型剣を引き抜き、急降下で地上へ舞い降りた。
「ここで手柄さ立てたらだなぁ、進一さぁがあたしさ見る目さ変えてくれるだんべぇ♡」
けっきょく静香の思考は、そこへ行き着いていた。しかし地上の海賊たちが、これでまた大混乱にもなっていた。
「おわぁっ! 女やぁーーっ!」
「女子{おなご}が空から降ってきただぁーーっ!」
「下からパンツ丸見えやでぇーーっ!」
「あんだっぺぇーーっ!」
最後の海賊のよけいなひと言が、静香の闘争心を、さらに煽り立てる展開となった。 (C)2013 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |