前のページへ     トップに戻る     次のページへ


『剣遊記14』

第三章 行け行け! 荒生田和志探検隊。

     (3)

 案の定だった。早い話が、昨夜からまったくの進歩なし。

 

「まずは湖ん中んこつ調べんと、話がなんも前に進まんけねぇ☻ 孝治やったら泳ぎも達者なはずやけ、まずはおまえが湖の底んほうば見てきんしゃい

 

「うわっち! なしてそげな展開になるっちゃね♨」

 

 わかってはいるのだが、いつもどおりである荒生田の無茶苦茶な論理暴走。しかし今回はヤケに多くであるのだが、孝治に再び救いの神が現われた。

 

 今朝は二島であった。

 

「まあまあ、いきなり水に入れと言いはりましても、それはあんさん、無茶ってもんでんがな ここはまずは、この池田湖の周りを丹念に探索し直して、湖のモンスターはんの実在証拠を探してみるというのも、探検隊の基本っちゅうもんとちゃいまっか?

 

 孝治は速攻で、二島の提案に飛び乗った。

 

「そ、そうですっちゃよ☆ まずは二島さんの言うとおり、水中よか陸上から調べてみるっちゅうのが、探検の基本なんやけね★」

 

 言ってみてから孝治は、自分の発言の問題点に気がついたりもする。

 

(うわっち? おれたちいつからほんまもんの探検隊になったとや?)

 

 しかし孝治の内部疑問はともかく、二島の話には、日明も前向きな態度となっていた。

 

「ぬわるほどのぉ! 探検の第一歩は、すぐに現場に突入することやにゃーで、こちらがおよばれせぬうちは、まぁずは周辺からの調査が基礎だがぁね☆ では徹哉クン、このうわたくしといっしょに、湖の地質調査から参ろうがねぇ!」

 

「ハイ、博士、ナンダナ」

 

 なんだか全然わからないけど、とにかく異常な盛り上がり方を見せる、正体不明なおふたりさんであった。

 

「じゃ、じゃあ、ぼくたちも街で聞き込み調査ばしよっかね☞」

 

 二島の話に無言でうんうんとうなずいていた裕志も、うしろから孝治を誘ってくれた。

 

「うん、そうっちゃね

 

 孝治としても、相手が裕志であれば、特に嫌がる理由はなかった。友美と涼子も、同じくうなずいているようだし。

 

 ただしこうなると、なんだかおもしろくなさそうな顔をしている者が、ただひとり。無論荒生田先輩しか他にはいない。

 

「なんやちゃーらんのぉ☹ モンスターは湖の底におるんがわかっとうとに、なして関係なか地上ば調べんといけんとや?」

 

「先輩はおれば裸にしたいだけでしょうが☹」

 

「おう、そうたい☆★」

 

 孝治の問いにすなおな姿勢で答えてくれたので、お礼にハリセンチョップをバチンと、サングラス😎先輩の頭のてっぺんにお見舞いしてやった。


前のページへ     トップに戻る     次のページへ


(C)2016 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved.

 

inserted by FC2 system