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『剣遊記14』

第三章 行け行け! 荒生田和志探検隊。

     (1)

 翌日の朝である。孝治たち一行は性懲りもなく、朝一番で出発。池田湖の湖畔に再び足を向け、すでに慣れた道なので特に大きな邪魔もなし。現場に早めに到着した。

 

 昨夜は徹哉の騒動のあと、いったん宿屋に退却。そのため全員、徹夜に近い無茶を犯しているというのに、大した元気の持続性である。もっとも孝治と友美の心境は、とっくに飽きの段階へと移行しているのだが。

 

 ついでに言えば、裕志はあきらめの段階であろう。

 

 とにかく孝治はつぶやいた。

 

「……ったく、ええ加減にしてほしいっちゃねぇ☹ いったい何回、宿屋と湖の間ば行ったり来たり繰り返したら気が済むっちゃね♨」

 

 この思いは当の張本人たち(言わずもがな)の前では剥き出しにしていないのだが、裕志や友美かて、たぶんおんなじ気持ちやろうねぇ――と、孝治は勝手に考えてみたりもする。

 

 でもって、これら年少組(年齢が十代)と対比できる存在が、年長組(年齢が二、三十代。いや、もっと上がいる)である荒生田、日明たちの、勝手に盛り上がり隊と言えるのかも。

 

「では徹哉クン、チミがきのう見たとか言うジュラ紀の生物とやらを、くわしゅう解説してもらいたいもんだがや✐✑」

 

「ハイ、デハ証言サセテモライマスナンダナ」

 

 こいつが果たして、年少組か年長組かのどちらかに属するかは謎である。その問題児(?)――徹哉が日明から言われたとおり、湖に顔を向け、淡々と目撃談を語り始めた。

 

「ハイ、ソレガ起キタノハ、ボクガコノ湖ヲ見張ッテ、小一時間ホド経過シタ時間ダッタンダナ」

 

 徹哉の解説――いわゆるモンスター目撃談は、次のような内容だった。


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