『剣遊記番外編T』 第三章 魔術師と姉妹、三人の旅立ち。 (12) 三人が旅立ち、村人総出で昨夜の宴会の後始末――兼今夜の宴会の準備に取りかかろうとしているときだった。いつもの公民館の中で、村人のひとりが村長に言った。
「いやあ、村長はんも偉いもんやのう☆ 自分の娘はんをふたりも修行に出さすんやからなぁ☺」
「はあ?」
これに村長は、なぜか『?』の顔となった。
「いんや、わしの娘っ子やないで♋」
「へっ?」
これには言い出しっぺのほうが、思いっきりな感じでとまどう始末。すぐに周りを、数人の者たちが取り囲んだ。
「村長でないんやったら、おまえんとこの娘なんか?」
「うんにゃ、うちには娘っ子なんぞおらんで✋」
「わしゃあ、てっきり吾作の娘やと思うとったんやが☛」
「うちの娘は、まだ五歳やで☝」
議論が出尽くしたところで、全員が顔を見合わせた。
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