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『剣遊記12』

第六章 サングラスが年貢を納める日。

     (5)

 次の日。久留米市中心街の一角に、あるひとつの人だかりができていた。また集まっている人々は、口々に同じ内容の話を続けていた。

 

「なんねぇ、きのうまで街でえばりよったヤクザ連中ばってん☠」

 

「見事にみとんなか格好ばいねぇ☻」

 

「おまけに小さかねぇ☝」

 

 それは公道上で晒し者となっている面々を取り巻き、まるで日頃の恨みを晴らすかのごとくだった。

 

 そんな市民たちに取り囲まれている連中は利不具や阿羽痴を始め、東天の配下であったヤクザども。その彼らが通りのド真ん中で素っ裸にされて棒でくくられるという、いわゆる十字架型磔{はりつけ}の刑に処せられていた。

 

しかも両手両足を左右から引っ張られるかたちで、堂々のおっぴろげ状態。当然男にとっては一番隠したい部分も、完ぺきに丸見えの有様となっていた。

 

「ぞうたんのごつ、やめてくでぇーーっ!」

 

「見るんやなかぁーーっ! ぼてくりまわすけねぇーーっ!」

 

 それぞれ利不具と阿羽痴の絶叫であった。


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