『剣遊記12』 第六章 サングラスが年貢を納める日。 (14) 一行が北九州市の未来亭に帰り着いてから、早くも一週間。
この間荒生田は、大変珍しい事態を引き起こしていた。それはすぐ次の旅へと出るわけではなし。市内を気ままにブラブラするか、あるいは未来亭に間借りをしている自室にて、なにやら引きこもりのような毎日を続けていた。
無論博美とラリーも同じ。未来亭に在伯しているまま。本来の目的であった海賊退治がキャンセル状態となっているので、本当の意味で暇らしかった。
そのような日々が、しばらく続いていた。ところがなにを考えたのやら。荒生田が突然、黒崎店長の執務室に、なんの予告もなしで飛び込んだのである。
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