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『剣遊記 番外編W』

第五章 それでも戦士はやめられない。

     (4)

 いったんは清美に同感した徳力であった。ところがここで、呆然の顔からなにかおもしろい思いつきでもしたかのように、急に清美に尋ねかけたりした。

 

「それとですけどぉ……✍」

 

「それとぉ? なんねぇ?」

 

 清美はやや面倒臭い思いになって、自分の左横に立つ徳力に顔を向けた。これに徳力が、ボソボソの口調で応じ返した。

 

「いえ……これはボクの勝手な予想ばってん……あのあんじゃもんとは、この先どっかでまた会うような気がするとですよねぇ♋ まあ、これも一種の因縁……腐れ縁っちゅうてもよかですが、ボクはこれになんぼか賭けてもええっち思うくらいなんですよねぇ☠」

 

「そうばいねぇ☻」

 

 この相棒の言葉には、清美もなんとなくだが、同感の気持ちになった。

 

「それやったらあたいかてそんとおりばい☠ いっぺん変な付き合いになったおちゃっかもんとは、必ず偶然でもどっかで再会することがようあるけんねぇ☢」

 

 それから徳力に、ひとつの提案を出してみた。

 

「じゃあ、あいつとまた会うことに、ほんなこつ賭けようばい☻ もちろんあたいはまた会うほうに、金貨……はかかじるほど多いけ、銅貨ば十枚やけね✌」

 

「そんならボクも、会うほうに銅貨ば十枚賭けます☟」

 

「いかん野郎ばってんねぇ♨ それじゃ賭けにならんやろ♐ ぬしは会わんほうに十枚賭けるんばい☛」

 

「それじゃボクんほうが損ばする確率高いやなかですかぁ☃」

 

「それでよかと☀ そんときはあたいが飯ばおごってやるばい☻」

 

 なんてな感じで、のどか(?)な雰囲気で笑い合う、ふたりの戦士であった。そこへ清美と徳力の間を、一陣の風がピュ〜〜と吹き抜けた。それから清美がなにかを急に、考え出す素振り。下アゴに右手を当てた。

 

「……んにしてもあのゴム粘土野郎、なしてさっさと逃げたとやろっか? あいつんほうが、けっこう有利な立場におったばってんやけどぉ……?」

 

「それもそうですねぇ……☁」

 

 徳力も下アゴに左手を当てた。同じ右だと、なんだか真似をしたような気持ちになるので。

 

「……なんかあのあんじゃもん、最後に言いよったですねぇ……確か『ば……』って……☠」

 

 やがてふたり(清美と徳力)は思い出した。この船に『ば……』が仕掛けられている状況を。

 

「わわぁーーっ!」

 

「あたいらそれどころやなかったとばぁーーい!」


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