『剣遊記 番外編W』 第五章 それでも戦士はやめられない。 (3) 「……あいつ……あたいが言ったとおりにして逃げよったばい……☠」
風に乗って船から遠ざかる紙飛行機の群れを、清美は呆然の思いで眺め続けた。
「……あの逃げ足のばたぐるさ……手ごわかおちゃっかもんなんち思いよったばってん……ありゃあプロの『殺し屋』っちゅうもんやなかばい✄ ええとこほんなこつ、盗っ人止まりやろうねぇ☠ あん体やったらどぎゃん見たっち、人ば殺すよか盗みなんかに使ったほうが便利っち思うけねぇ☻」
徳力もまた、やはり呆然の顔付きでありながらも、清美のセリフに同感した。
「そぎゃんですよねぇ……自称だけやったら、なんとでも言えますけ✍」
なお、今回とはあまり関係のない、その後の話。殺し屋を自称していた腑阿呂は本当に、その自信を失ったらしい。以後は清美の予測どおり盗っ人への転向を果たし、謎の怪盗となって闇の世界で暗躍をしたという。
作者としては、彼の話の続きを書く気はなし。清美たちの視線に戻るとしよう。 (C)2015 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |