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『剣遊記13』

第三章 空のバカンスは嵐を呼んだ。

     (10)

「うわっち?」

 

 孝治は思わず振り返った。友美と秋恵も同じだった。とにかく三人をまとめて呼び止めた者は、店長秘書の勝美であった。

 

 その勝美が言ってくれた。

 

「なんフツーの招待客のつもりでおるとね☻ あさんら(佐賀弁で『あなたたち』)初めに聞いとろうも✍ 今回孝治くんと友美ちゃんは店長と同じで、美奈子さんの付き添いなんばい

 

「うわっち?」

 

「あっ、そうやったっちゃね

 

 孝治は初めはピンとこなかった。だけれど友美は、すぐに思い出したようだ。

 

「ほらぁ、わたしかていまだ理由がよう納得できんとやけど、わたしたちなぜか、美奈子さんのお見合いに立ち会わないけんやったっちゃよ やけん今から、そんお見合いが始まるっちゃね♡

 

「そ、そうやったんけぇ……☁」

 

 孝治もようやく思い出した。自分がなぜか、美奈子のお見合いに付き合わないといけない立場にあることを。

 

「まっ、そん理由はもうどげんでもよかっちゃけど、なんかパーティーっちゅうたら、御馳走が出るっちゃよ☢ それば一時お預けされんといけんとやろっか☁☃」

 

「あ……はい……ほんなこつ残念ばってん♋」

 

 秋恵もさすがに、失望の色丸出しの顔になっていた。孝治はそんなガッカリ気味になっている秋恵の背中を、ひと声押してやった。

 

「よかよか☀ お見合いば終わったら、おれたちもあとからパーティーに参加するっちゃけ♨ もっともうちの給仕係のメンバーやったら、いくら御馳走があったかて、一発で終わっちまうかもしれんちゃけどね☻♋」

 

「は、はぁ〜〜い♡」

 

 これにてふっ切れたのか、秋恵はややうつむき加減の笑顔となった。それから孝治と友美のあとを、早足で追い駆けてきた。


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