『剣遊記\』 第七章 そして海は静かになった。 (4) 同時刻。鬼ヶ島から離れて対岸の岡山県へと向かう、一艘の小船――もとい大船があった。
乗船者は約一名。魚町がたったひとりで大船を占有。自分で船の櫂も漕いでいた。
なぜ大船にひとりで乗っているかを説明すれば、魚町の体格が大き過ぎて、ふつうの小船では沈んでしまうからなのだ。また、せっかく大船に乗っても、ひとりで満員となる始末。
「すまんちゃね、静香☂ おれはまだもうちょい独り身でいたいとたい……⛑⛔」
静香と魚町の追い駆けっこは、まだまだ当分続きそうな話の雲行きである。 (C)2013 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |