『剣遊記\』 第七章 そして海は静かになった。 (2) 「さてと、とりあえず海賊退治は終わったばいね☀」
帆柱の終息宣言どおり、瀬戸内海の大海賊――馬図亀一味は、全員お縄となった。海の猛者として名高い彼らではあったが、終わってみれば、実に呆気ないものだった。しかも子分どもは全員、友美による『睡眠』の魔術で熟睡中。なので、寝ている様子を見てみると、なんだか可愛らしいような気分さえ、孝治は胸に抱いていた。
(うわっち! いかんいかん!)
孝治はハッと我を取り戻し、頭をブルブルブルブルと、念を入れて横に振りまくった。
このような(変な)中だった。首領の馬図亀は、見苦しくもお決まりの啖呵を切っていた。
「さあっ! 殺すんやったらさっさと殺してんか! 俺はもう覚悟を決めとんのやさかいになぁ!」
つまり根性のあるところを見せつければ、たぶんこれで寛大に扱ってくれるだろうと、甘い期待をかけているわけ。しかしあいにく、孝治にはそのような(見え見えの)男気に、応える情けはないのだ。
「しゃーーしぃーーったい☠」
ひと声怒鳴って、馬図亀の頭を金槌🔨で、ゴツンッと一撃。あっさりと最後の悪あがきを鎮めさせてやった。 (C)2013 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |