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『剣遊記 番外編Y』

第二章 新怪人続々登場。

     (9)

「も、もうよかばい♋ あんたとまともに会話しようっちした、わたしんほうが馬鹿やったみたいやけ⛄✋」

 

 けっきょく言いたかった文句を、自分のほうから取り下げ。律子はひたすら、前進のみに専念した。

 

 現在目的の古城まで、あとわずかの距離のはず。だけど、うしろに控える怪人第二号のような徹哉の存在で、律子は調子を乱されっぱなし。今や後悔にも似た思いが、律子の胸に込み上げていた。ちなみに怪人第一号は日明。今さら言うまでもないか。

 

「ったくぅ……いくら絶対に断われん店長からの依頼やからっちゅうたかて、あげんふてえがってえ、いたらんお荷物ばおっかぶせられたもんばいねぇ☠ 帰ったら絶対、今回の苦労賃請求してやるけね⚠」

 

「先輩、あれがあたしらが目指しとう、目的の古城ばいねぇ☞」

 

 そんな風で、律子はゴニョゴニョと、独り言をつぶやき続けていた。そこへ秋恵が、背中から声をかけてくれたわけ。

 

「あら? ほんなこつ……いつん間にか着いたばいねぇ☜☞」

 

 人という生き物は、なにか別の考えに熱中していると、意外に足が速く進む性質があるらしい。気がつけば、彼女たちふたりと怪人第二号の前に、目的である石造りの古城🏰がそびえていた。


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