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『剣遊記]』

第六章 新人類の誕生。

     (16)

 今回の冒険の目的であった呪いの解除が、これにて終了(?)。

 

 あとの残務処理は、悪の張本人――有混事への落とし前だけとなった。

 

「さっ、お次は今まで律子に与えちょった精神的苦痛とオレたちが受けた損害賠償分、きっちり慰謝料として払ってもらうったいね☀」

 

 むしろこれからが、荒生田の本領発揮の場となるわけ。なぜならその理由は、体の良い臨時収入に他ならないのだから。

 

 本当はこのまま未来亭に帰っても、報酬はしっかりと約束をされているはず(払う者は秀正だが)。だからこれはある意味、とても図々しい行為とも言えそうだ。

 

 だが、そんな裏話など知るはずもない有混事は、すでに完全に観念しきっていた。

 

「は、はい! 払います☂ 金で済むことやったら、この際なんでもおっしゃってください☂ やけん命だけはお助けを☂」

 

「実際あんたの命ば取ったからっちゅうて、けっきょく一文にもならんけねぇ〜〜☠」

 

 司教だった男の無様な醜態には、孝治も心底から辟易した。

 

「まあ、ええずらよ♡ くれるモンはもらっておけば♡」

 

 だけど孝治よりかなり狡猾な性格をしている可奈が、今や敗北者根性丸出しである有混事の尻を、右足で蹴りながらで言ってくれた。

 

「やぶせったいおんじょう言うてねえで、さっさとあたしたちにおめたの財宝の隠し場所さ案内するずらぁ! どうせおんしの家の地下にでも隠してあるさけぇ♐ でねえとおんしの魔術さ、永遠に封じたまんまにしてやるだにぃ☠」

 

「ひえ〜〜っ! それだけはご勘弁を!」

 

 お聞きのとおり、有混事の魔力は可奈の手によって、逆襲のつもりで封印の憂き目となっていた。だからこそ魔術頼みの元司教(もはやクビも同然)は、とことん卑屈。反対に荒生田や孝治たちは、徹底的に傲慢極まる態度で、有混事を責めることができるのだ。


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