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『剣遊記]』

第六章 新人類の誕生。

     (12)

 これにてとりあえず、悪者全員のお仕置きが終了。でもってこのあと、律子たちによる有混事への正当な報復(?)が開始される話の運びとなった。

 

 有混事は宴会場の隅っこで気絶していたところを、無理矢理的に叩き起こされたかたち。それから孝治と荒生田のふたりに脅かされ、まずは友美と可奈の魔力封じの解除からやらされた。

 

「やぶせったい気持ちだったけど、やっとあたしに魔術の力が戻ったずらね♡」

 

 早速右手の手の平で魔術による炎(角燈と同じくらい)を揺らめかせ、可奈が満足そうに微笑んでいた。その左横では人の姿に戻っている親友の美香(着衣済み)が、相変わらずの蚊が鳴くような小声で、おどおどと尋ねていた。

 

「美香……もうカモシカに戻ってもええずらか?」

 

 親友の魔術師は、その願いを即行で却下した。

 

「戻ってええ……ったって、たった今さ出くわずみてえに人に戻ったばかりで、なに言ってんだにぃ♨ 昔っからこんねんまく変に思うとったんが、どうして美香は、てんづけに動物になりたがるずら? あたし、美香さのそこんが、いっつも不思議なんだがにぃ???」

 

「そうっか?」

 

 可奈の疑問提起など、まるで理解ができていない様子。美香は小首を左に傾げるばかりでいた。


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