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『剣遊記Y』

第三章 精霊抗争勃発!

     (20)

「なんねあれってぇ! けっきょく失敗っちゅうことやない!」

 

「ぼくに言われたかて、困るっちゃけどぉ……☁」

 

 一部始終を見ていた由香が、歯噛みをしてくやしがる。しかし反対に裕志のほうは、ほっと安堵の息を吐いていた。

 

 由香の頼み(実態は命令そのもの)で、宿敵泰子を陥れるための罠を張ったものの、やはり女の子をいじめる行為は、裕志の性分からいって寝ざめの悪いものだった。だから孝治には気の毒であるが、とりあえずは一難が去った心境に、今の裕志はなっていた。

 

「と、とにかく、これでもう終わりっちゃけね☺」

 

 裕志としてはこれ以上、妙なケンカに加担をしたくはなかった。そこでなんとかあきらめてくれるよう由香に願うのだが、やはり聞き入れてはくれなかった。

 

「いんや、作戦はまだまだこれからやけね!」

 

 由香は裕志の予想以上に、執念深い性格だったのだ。

 

「あ、そう……♋☹」

 

 裕志は深い深ぁ〜いため息を吐いた。


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