『剣遊記Y』 第三章 精霊抗争勃発! (21) 作戦第二号は、店内の奥へと通じる廊下が舞台と決まった。
「仕掛けは簡単ちゃけね☻ この通路そのものに魔術ばかけて、人が足ば踏み入れたとたんに、ツルッとすべるようにすると☻ すべった先は行き止まりやけ、その上の棚には袋詰めのメリケン粉があって、壁にぶつかったら頭っからメリケン粉ばかぶっちゃうってわけ☻ 今度こそ完ぺきばい☠」
「よくそげな悪知恵が出てくるっちゃねぇ……♋」
交際を始めてから、けっこう長い付き合いだった。しかし裕志は、由香のこのような残酷なる一面を、きょうになって初めて見る思いがしていた。
女性の本性とは、つくづくわからないものである。
そんな裕志の内心での怯えは無視。由香の口振りは、まさに自信満々そのもの。
「もうすぐ秋田風女がお皿ん山ば持って、ここば通ることになっとんやけ☛ これも彩乃や桂たちとは打ち合わせ済みなんやからぁ☻ でもって秋田風女がここば通って、見事に転んでお皿ばたくさん割ったうえ、見事粉まみれになっちゃうってわけたいね☠」 (C)2012 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |