『剣遊記13』 第四章 響灘上空三十秒! (24) 「うわっち! また来たっちゃねぇ!」
孝治もやる気満々で、中型剣(しつこい説明だけど飾り用)をビュンビュンと振り回した。ただし大型とはいえ、せまいユニットバスの中で振り回しては危ないので、孝治はロープにつかまって身を乗り出し、バスの外で彼らに応戦するようにしていた。
「へへーーい!」
「そこの姉ちゃん、やるじゃねえかよぉーーっ!」
頭髪をあらゆる色に染めていたり、アイスホッケーに使うような防具マスクを顔に付けている連中が、次から次へと孝治に襲いかかってきた。
すでに爆竹ではなく、空での格闘戦用であろう。装着の容易そうな短剣で、彼らは孝治たちに斬りかかるのである。それを孝治は剣でもって、カキンカキンと火花を散らしつつかわしてやった。
「孝治はん、気ぃつけなはれや! このあっぽ(京都弁で『阿保』)どもは本気やさかいになぁ!」
珍しくも高い剣幕の声を上げながら、美奈子も孝治のフォローに回ってくれた。
「はあっ!」
「うっぎゃああああああっ!」
また一機――もといコンドルのひとりが美奈子の衝撃波魔術を受け、響灘の海上に落下をした。しかし敵もなかなか、その兵力を減らしてはいなかった。 (C)2015 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |