『剣遊記13』 第四章 響灘上空三十秒! (21) 「なんとか間に合{お}うたみたいっちゃねぇ✌」
口ではカッコをつけている孝治であった。ついでにその本心は、次のような感じ。
(やったぁーーっ✋ 美奈子さん相手にええとこ見せてやったばぁーーい✌✌✌)
そんな孝治たち(お伴は友美と涼子)の乗っているモノは、まさに奇想天外。
「秋恵ちゃんば飛行船にしてしもうて、ほんなこつ大丈夫なんやろっかねぇ?」
友美が心配顔で見上げる頭の上には、ピンク色の小型飛行船(全長十メートルくらい。しかもしっかりと葉巻型)が浮かんでいた。またその飛行船にはロープがしっかりと巻かれ、それが下まで伸びて、孝治たちの乗っている大型のプラスチック製ユニットバスがぶら提げられた状態でいるのだ。
つまりが飛行船型の気球に、プラスチックの入れ物がくっ付いている――そんな感じの大型バルーンと言うべきか。
今さら申すまでもないが、小型飛行船の本体はホムンクルス秋恵の変身であり、彼女は我が身を浮力として、孝治たちを空中戦の現場へ導いたわけである。それはとにかく、今はのんびりと格好をつけている場合ではなかった。
『孝治っ! あいつらこの飛行船に気ぃついたっちゃよ!』
「うわっち!」
小型飛行船の右側を自力で浮遊している、幽霊涼子が右手で指差す先だった。突然の小型飛行船の出現を見たフライング・コンドルの連中がハンググライダーの向きを変え、こちらに飛行してきたのだ。
「きえーーっ!」
さっそく先頭のひとりが、もはや定番の武器である、爆竹を投げつけてきた。他にないのか。
「うわっち! こんにゃろう!」
孝治はその爆竹を、今も手にしている飾り用の剣でパコーンと打ち返した。爆竹は遥か遠くまで弾かれ、空中でパンと破裂した。だがそいつを先兵として、さらに次から次へと後続部隊が、秋恵変身の小型飛行船に襲いかかってきた。
孝治は剣で飛んでくる爆竹を跳ね返し、友美も衝撃波魔術で、彼らをバタバタと退けてやった。
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