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『剣遊記13』

第四章 響灘上空三十秒!

     (17)

『うっひゃあ〜〜っ 秋恵ちゃんって大胆っちゃねぇ☻ でも秋恵ちゃん、孝治がほんまは男やっちゅうこつ、聞いとるはずなんやけどねぇ?

 

 涼子も『これ以上おもろいもんはなかぁ☆』の顔で、今や最後の下着――パンティーに手をかけている秋恵を見つめ続けていた。このような有様であるから孝治など、もう速攻で秋恵に背中を向けていた。

 

「ちょ、ちょっと秋恵ちゃん! 律子ちゃんから聞いとろうも! おれがほんなこつ男やっちゅうことばねぇ!」

 

「はい、聞いとりますけど♡」

 

 声の感じだけでは、現状がまったくわからなかった。だけど恐らく、真っ裸で立ち尽くしているであろう秋恵が、平然丸出しな口調で言葉を返してくれた。

 

「でもほんなこつ、男が女に変わるっちゅうこつ、有り得るとでしょうかねぇ? あたしいっちょん信じられんとですけどぉ✄」

 

「うわっち!」

 

 孝治は絶句した。要するに秋恵は、孝治の性転換を、実は半信半疑のままでいたようなのだ。だからこそ孝治を瞳の前にしても(背中を向けているけど)、平然と裸になれるのだろう。これはこれで、やはり大胆ではあるが。

 

「もう、しょんなかねぇ☻ まあそん気持ち、わからんこともなかっちゃけど☁」

 

 孝治よりは心に耐性のありそうな友美が、やれやれの感じでささやいた。

 

「で、も、もうよかっちゃろっか?」

 

 今も背中を向けたままで尋ねる孝治に、秋恵の裸を堂々と瞳にしているらしい友美が、代理で答えてくれた。

 

「もうちょっと待ってっちゃね えっ? なんね、秋恵ちゃん✍

 

 返答のついでか、なにやらふたり(友美と秋恵)の会話も聞こえてきた。

 

「そんガスボンベば持ってきてって?」

 

「はい、友美先輩、お願いしますばい!」

 

「ガスボンベば、どげんする気や?」

 

 無論のこと、気になって仕方のない孝治であった。しかし今は、乙女の裸ば見ちゃいかん――という理性が、その思いを許さなかった。そこへ拍車をかけるような、涼子の驚き声。

 

『きゃっ! 秋恵ちゃん、凄かぁ!』


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