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『剣遊記12』

第四章 サラマンダー、恐怖の襲撃。

     (16)

「見ろっちゃあ! サラマンダーが小{ちい}そうなりようっちゃぞぉ!」

 

 今度は荒生田が、見たまんまを大声で張り上げた。とりあえずの危機から逃れられ、それから傍観者の立場を得た者は、実に気楽なものだった。一同はズラリと、河原で横一列に並んでいた。

 

「やっぱりどんどん消火されようっちゃねぇ☞ もう火ぃ出す力も、ほとんど無いみたいやけぇ♐」

 

 友美も荒生田の右横で、瞳の前にて繰り広げられている凄まじい光景に、今や息すらできない心持ちでいるようだ。

 

 それからついにシュボッと、わずかばかりの白煙を生じさせ、サラマンダーが消滅した。

 

 お終いでラリーがぶっかけた水を、トドメの一撃とされて。


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