『剣遊記12』 第四章 サラマンダー、恐怖の襲撃。 (16) 「見ろっちゃあ! サラマンダーが小{ちい}そうなりようっちゃぞぉ!」
今度は荒生田が、見たまんまを大声で張り上げた。とりあえずの危機から逃れられ、それから傍観者の立場を得た者は、実に気楽なものだった。一同はズラリと、河原で横一列に並んでいた。
「やっぱりどんどん消火されようっちゃねぇ☞ もう火ぃ出す力も、ほとんど無いみたいやけぇ♐」
友美も荒生田の右横で、瞳の前にて繰り広げられている凄まじい光景に、今や息すらできない心持ちでいるようだ。
それからついにシュボッと、わずかばかりの白煙を生じさせ、サラマンダーが消滅した。
お終いでラリーがぶっかけた水を、トドメの一撃とされて。 (C)2014 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |