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『剣遊記12』

第四章 サラマンダー、恐怖の襲撃。

     (15)

「ちいっ! 一回だけじゃ駄目ばぁよ! ラリー、こっち来い!」

 

 サラマンダーの意外に早い復活劇を見た博美が舌打ち。ラリーの頭をペシペシと左手で軽く叩き、再び川へと入れさせた。ここで二度目の吸水をやらせるようだ。

 

「ラリー、こちとらわーらーはいくらでもばんないあるだからよぉー! 遠慮しねえでくりんくりんに、あにさーにぶっかけていみそーれぇーーっ!」

 

 まさにブッシューーッ! シュババババァーーッと、ラリーも博美も気合いそのまま。吸ってはぶっかけ、また吸ってはぶっかけの繰り返しで、何度でもサラマンダーに、水の洗礼を浴びせ続けた。

 

 この連続放水には、さすがのサラマンダーも、たまらないらしかった。

 

 元来彼は、まったく水気の無い炎の精霊界に、その身を置いていた。従って水に対する抵抗力など、ほとんど無きに等しいのだ。それがこうも立て続けに水を浴びせられては、もはやこの地上で姿を保ち続けること自体、とても不可能な状況と言えるだろう。


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