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『剣遊記12』

第四章 サラマンダー、恐怖の襲撃。

     (13)

「ゆおーーっしぃ! 博美やなかねぇ!」

 

 荒生田が真っ先に、象と博美に気がついた。

 

「おまえも逃げるっちゃあーーっ! サラマンダーが来よるっちゃぞぉーーっ!」

 

 しかし博美もラリーも、頑として動かなかった。それどころか口元に、不敵な笑みを浮かべる余裕っぷりでいた。

 

「わかっとうだからよー✌ そんなことよりあったーらこそ、さっさとそこをひんぎるんだわけさー!☢」

 

 博美は強大な敵が現われて、それがうれしくて仕方がない――と言わんばかり。ラリーの背中に早業で跨り(象の背中!)、真正面から迫ってくるサラマンダーを、ギラリとにらみつける度胸を見せつけた。

 

 そんな新たなる戦闘相手の登場に、さらに剥き出しの凶暴性が刺激されたかのようだ。ブオオオオオオオオオオッッッとサラマンダーが全身から炎をさらに噴き出しながら、猛速度で象に向かって突進した。

 

 そのとたんだった。

 

「今だわけさぁ! ラリー、くりんちばってやれぇーーっ!」

 

 博美の掛け声に、パオーーッと連動! ラリーがその長い鼻の先を、火の怪物に差し向けた。それからシュババァーーッッッと、鼻に貯めていた大量の水を、一気に拡散しての大放出!


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