『剣遊記番外編U』 第一章 古都の狼藉者。 (7) 「いよいよ戦いはクライマックスと言ったところのようでんなぁ☆」
野次馬たちの中に身を置く吟遊詩人が、破壊音を耳に入れて、周囲の者たちにささやいた。しかし周りの一般市民たちは全員固唾を飲んだ感じで、シーンと押し黙っているのみでいた。
話に応じてくれる者がいない吟遊詩人は、それでもなお込み上げてくる興奮感を、ほとんど独り言で発散するしかなかった。
「名門道場に挑みはる無名の道場破り……こりゃ確かに新曲創りの題材にはピッタリでんなぁ♡」 (C)2013 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |