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『剣遊記番外編U』

第一章  古都の狼藉者。

     (7)

「いよいよ戦いはクライマックスと言ったところのようでんなぁ☆」

 

 野次馬たちの中に身を置く吟遊詩人が、破壊音を耳に入れて、周囲の者たちにささやいた。しかし周りの一般市民たちは全員固唾を飲んだ感じで、シーンと押し黙っているのみでいた。

 

 話に応じてくれる者がいない吟遊詩人は、それでもなお込み上げてくる興奮感を、ほとんど独り言で発散するしかなかった。

 

「名門道場に挑みはる無名の道場破り……こりゃ確かに新曲創りの題材にはピッタリでんなぁ♡」


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