『剣遊記[』 第五章 フェニックス作戦第一号。 (30) 「ぼく……なんか気持ち悪うなってきたっちゃよ……☢」
「裕志くんもですけぇ……実はボクもですばい……☢」
フェニックス――三枝子の旋回飛行は、遠くから眺めている裕志と徳力の三半規管にまで、重大な悪影響を与えていた。
早い話が船酔いのような症状であろう。
「うぷっ!」
ついには孝治も、なんだか吐き気を感じる始末。
「孝治……大丈夫?」
友美が心配そうに、背中を撫で撫でしてくれた。
そんな後輩たちが、青色吐息の中だった。清美と荒生田のふたりだけは、平然どころか大いに楽しく観戦を続行していた。
「なんねぇなんねぇ! どいつもこいつも情けなかぁ! それでもぬしら九州男児ねぇ……あっ、ひとり微妙な女児がいたか☻」
「まったくやねぇ☻ これが終わったらこんオレが、おめえらにヤキば入れ直しちゃるけ、覚悟しや☠ 孝治もやけね☻」 (C)2013 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |