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『剣遊記[』

第五章 フェニックス作戦第一号。

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「ぼく……なんか気持ち悪うなってきたっちゃよ……☢」

 

「裕志くんもですけぇ……実はボクもですばい……☢」

 

 フェニックス――三枝子の旋回飛行は、遠くから眺めている裕志と徳力の三半規管にまで、重大な悪影響を与えていた。

 

 早い話が船酔いのような症状であろう。

 

「うぷっ!」

 

 ついには孝治も、なんだか吐き気を感じる始末。

 

「孝治……大丈夫?」

 

 友美が心配そうに、背中を撫で撫でしてくれた。

 

そんな後輩たちが、青色吐息の中だった。清美と荒生田のふたりだけは、平然どころか大いに楽しく観戦を続行していた。

 

「なんねぇなんねぇ! どいつもこいつも情けなかぁ! それでもぬしら九州男児ねぇ……あっ、ひとり微妙な女児がいたか☻」

 

「まったくやねぇ☻ これが終わったらこんオレが、おめえらにヤキば入れ直しちゃるけ、覚悟しや☠ 孝治もやけね☻」


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