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『剣遊記[』

第五章 フェニックス作戦第一号。

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「けっきょくわかることっち、ふたり目の『うちキャラ』の登場……いや誕生ばいね☀」

 

 孝治は理由がわからないまま、友美相手に結論づけた。そんな風で、孝治と友美の感じている疑問など、知らないままであろう。おまけに三枝子蘇生の事実まで、とにかく細かい出来事(?)にはこだわらない性格の清美が、これにてこの件はお終い。常に人生は前進あるのみ――とばかり、先頭になって急に腰を上げた。

 

「まっ、生き返った理由なんちいろいろあるとやろうが、ではかったるいことばうっちょけ、今度こそフェニックスにリベンジといくばい✈」

 

 なんだかんだと言ったところで、全員フェニックス狩りをあきらめてなどいないのだ。

 

 ところが――であった。

 

「えっ? ちょ、ちょっと待ってください! フェニックスば捕まえんのは、もうよかです!」

 

 ここで驚いた話。フェニックスを求める中心人物であるはずの三枝子が、狩りを再開しようとした一行の前に両手を広げて立ちはだかり、引き止める行動に出たのである。

 

 これには誰もが――特に清美が当惑した。

 

「な、なんば変なこつしゃぶりよっとや! フェニックスの血がいっちゃん必要なんはあたやろうも! それともお袋さんの病気はもうよかっちゅうのけぇ!」

 

「そ、それはぁ……☁」

 

 激しく問い詰める清美を前にして、三枝子は口ごもるだけで精いっぱいの感じ。それ以上、なにも答えられなかった。

 

 ここで孝治たちも知らない事実。そう。三枝子は自覚をしているのだ。自分がフェニックスと合体していることを。

 

 だけどもその事実は、誰にも絶対に言えない秘密中の秘密なのだ。


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