『剣遊記[』 第五章 フェニックス作戦第一号。 (3) 「けっきょくわかることっち、ふたり目の『うちキャラ』の登場……いや誕生ばいね☀」
孝治は理由がわからないまま、友美相手に結論づけた。そんな風で、孝治と友美の感じている疑問など、知らないままであろう。おまけに三枝子蘇生の事実まで、とにかく細かい出来事(?)にはこだわらない性格の清美が、これにてこの件はお終い。常に人生は前進あるのみ――とばかり、先頭になって急に腰を上げた。
「まっ、生き返った理由なんちいろいろあるとやろうが、ではかったるいことばうっちょけ、今度こそフェニックスにリベンジといくばい✈」
なんだかんだと言ったところで、全員フェニックス狩りをあきらめてなどいないのだ。
ところが――であった。
「えっ? ちょ、ちょっと待ってください! フェニックスば捕まえんのは、もうよかです!」
ここで驚いた話。フェニックスを求める中心人物であるはずの三枝子が、狩りを再開しようとした一行の前に両手を広げて立ちはだかり、引き止める行動に出たのである。
これには誰もが――特に清美が当惑した。
「な、なんば変なこつしゃぶりよっとや! フェニックスの血がいっちゃん必要なんはあたやろうも! それともお袋さんの病気はもうよかっちゅうのけぇ!」
「そ、それはぁ……☁」
激しく問い詰める清美を前にして、三枝子は口ごもるだけで精いっぱいの感じ。それ以上、なにも答えられなかった。
ここで孝治たちも知らない事実。そう。三枝子は自覚をしているのだ。自分がフェニックスと合体していることを。
だけどもその事実は、誰にも絶対に言えない秘密中の秘密なのだ。 (C)2013 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |