『剣遊記[』 第五章 フェニックス作戦第一号。 (17) とりあえずひなワシの安全を確保(?)した三枝子は、孝治たちから遠く離れ、道から外れた林の中にある、大木の陰に身を隠した。
ここならば誰にも見られずに、例の力とやらを発揮できる――はず。だが肝心の発動法を、実はフェニックスからまだ聞いていなかったりもする。
「力って……いったいどげな風に使ったらええと?」
三枝子は今さらながらにつぶやいた。
気合いを入れる掛け声があるとは言わなかったし、活用に伴う動作も知らない。ただ、強い思いさえあれば、いつでも力の始動は可能とだけ。それだけを夢の中で聞いたような気がしていた。
「ええいっ! ままったい!」
とにかく今は、悩んでいる暇などなし。ここはなんでんよか――とばかり、三枝子は大声を張り上げての絶叫をやらかした。
「うちはフェニックスばぁーーい!」
思いっきり恥ずかしかった。だが次の瞬間、奇跡は起こった。
三枝子の全身が突如太陽のごとく、爆発的閃光を発したのだ。💣 (C)2013 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |