『剣遊記[』 第五章 フェニックス作戦第一号。 (11) 『あ〜あ、いったいいつんなったら、こげな不毛な議論が終わるっちゃろっかねぇ☁☠』
先ほどから延々と続く無駄な時間的やり取りに、涼子はほとほと飽きの感情が湧いていた。
実は涼子も薄々感じてはいるのだが、三枝子は清美からの追及をうやむやにするため、孝治を『生け贄のヤギ{スケープ・ゴート}』として、うまく利用する気でいるようなのだ。
なんとまあ、けっこう強{したた}かな女格闘士だこと。
しかし、ここでだからと言って、涼子もこのまま、知らんぷりを続けるわけにもいかなかった。
『ここはひとつ、あたしが助けてあげるしかなかっちゃねぇ〜〜☻』
幽霊娘が実行できる危機打開法と言えば、ちょっとしたポルターガイストでも起こして、清美と三枝子の気を別方向にそらす作戦ぐらいなものだろう。もっとも、これより他にできる方策もないので、いつまでこの作戦でごまかせるかは、保証の限りではないのだが。
『では、ここらで一発ドデカいのば……☞☆』
とにかく涼子は即席で作戦決行を決め、思念を発動させようとした。そのとき、いつもの恒例だった。
「清美さぁーーん! ドエラかことですばぁーーい!」
森の奥から徳力が、息を切らしながらで走ってきた。 (C)2013 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |