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『剣遊記]』

第五章 必殺! お仕置き人参上。

     (3)

 煌々と輝く満月を背景にして、六人の刺客たちが、道幅いっぱいに横並び。里へと向かう山道を下っていた――などと表現をすれば実に仰々しいのだが、要するにこの六人、荒生田をリーダーとする、未来亭戦士たちの一行である。

 

 黒いサングラス😎の荒生田を真ん中に置いて、左側を孝治と秀正と友美。右側を可奈と美香。それから余談扱いで申し訳ないのだが、幽霊の涼子も、きちんと彼らに同行していた。従って彼女を含めれば、正しくは七人。

 

「どうずら? あたしが考えた策んとおりになったんだにぃ♡」

 

 黒衣の女魔術師――可奈が、やや鼻高げにささやいた。しかし実際に文句の付けようがないくらい、話の流れはそのとおりだったりする。

 

 孝治たちは古城で美香が倒した兵のひとり(たぶん兄貴分)を無理矢理叩き起こし、有混事たちが現在、どこでなにをしているのかをしゃべらせた。それによると彼らは孝治たちの捕獲を祝って、盛大なる酒宴を伯爵の屋敷で行なっているという。

 

「ほんとあたしの考えどおりずら☆ やつらはあたしたちさ捕まえて、おっごそうしながらすっかり油断しとるんだにぃ♡ これは悪党さお仕置きすんのに、絶好のチャンスずらぁ♡」

 

「自分かて昔は悪党やったくせに……☠」

 

 今のは孝治の小言。

 

「なんか言うたずらぁ?」

 

 もちろん地獄耳の可奈が、あざとく聞きつけた。これに孝治は、素知らぬ顔してシラを切った。

 

「いんや♤ なんでんなか♢」

 

 とかなんとか言っているうちに六人(幽霊も含めれば七人)は、蟻連伯爵の門前に到着した。しかも兵の白状どおり、屋敷の中から宴会で騒いでいる大声も聞こえていた。

 

 ここで一行のリーダー(気取り)でいる荒生田が、声も高らかに宣言した。

 

「野郎どもぉ! 必殺お仕置き人の始まりっちゃでぇ! 死して屍{しかばね}拾う者なし☠ 覚悟するっちゃぞぉ♡」

 

 孝治は口には出さないようにしてつぶやいた。

 

(なんか番組が違うような気がするっちゃけどねぇ〜〜☁ まあ、いっか♥)


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